アルピーヌ パッション 完全アルピーヌ・ガイド
アルピーヌA110 ブレーキ

 A110のブレーキはサスペンションと同じくR8の流用、4輪ディスクが使われている。※注1 
後期には競技用として、より大きなディスクブレーキが使われ、それがSCやSX、A310にも純正採用された。

 このR8のディスクブレーキは量販車としては最初期のディスクブレーキである。そのためか、ローターとパッドの厚さは現代では考えられないほど薄い。効きも現在のレベルではないが、当時のドラムブレーキと比べればかなり効いたといえる(ハンドブレーキは効かない※注2)。
サーボ〈※注3)がないのでそれなりに踏力はいるが、軽いA110にとっては十分に効くといえる。

 古い車の弱点の一つがブレーキとすれば、A110はその弱点が当てはまらない珍しい旧車の一台といえるだろう。
このブレーキの弱点を少なくするため、レース用に厚いローターも作られた。このローターに合わせるためパッドも薄くされ、これらを使うことにより、よりダイレクトな効き味となる。

 さて今の感覚からすれば、フィンもないローターと放熱も考えていないキャリパーでは温度が上がりすぎてしまうと思われがちだが、A110の軽さがすべてを解決しているようだ。かなり厳しい状態にしてもへこたれないブレーキである。A110にとっては、意外といいブレーキとなっている。



 後期の競技用に使われた通称Grosブレーキ。これはR16のブレーキを利用したもので、サーボ無いながら現在のブレーキといえる。80〜90年代の車に使われたブレーキの初めと考えてもよいだろう。1600のエンジン同様に意外な構造ではなく、その車体に対して十分以上な性能のブレーキである。

後期の1600のみならずA310にも純正採用されている。このキャリパー用にマスターシリンダーは、19mmから22mm径に変更された。このブレーキは効きも強力になったが、踏力の増大するようになった。


※注1 スペイン製のA110はドラムブレーキの車が多い。

※注2 調整した直後はそれなりに効くのだが、すぐにもとに戻ってしまう。

※注3 ごく少数のA110にサーボが付けられたが、タンデム・シリンダーのマスター採用と共に廃止された。